中山晋平“鉾をおさめて”
唄:ヴィタリ・ユシュマノフ/ピアノ:塚田佳男
ヴィタリ・ユシュマノフ
Vitaly Yushmanov
サンクトペテルブルク生まれ。マリンスキー劇場の若い声楽家のためのアカデミーで学ぶ。ライプツィヒのメンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学を卒業。在学中に、ドイツのバート・ヘルスフェルト・オペラ音楽祭で「ドン・ジョヴァンニ」主役を演じ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスの「ニューイヤーコンサート」にも出演。
2013年の秋以来、度々来日し、「ブラームス/レクイエム」のソリストをはじめ、オペラ、ソロ・リサイタル、ジョイント・リサイタル、オーケストラとの共演など各地で演奏。2015年春より日本に拠点を移し、デビューアルバム『歌の翼に』(フロレスタン)に続き、イタリア歌曲アルバム『Parole d’amore』(オクタヴィア)、そして2018年10月には日本歌曲を歌ったアルバム、「ありがとう」を風にのせて〜日本名歌曲集〜(オクタヴィア)をリリース。
2015年「ドン・カルロ」ロドリーゴ侯爵役、2016年「ドン・ジョヴァンニ」主役でオペラ出演。2017年3月びわ湖ホールオペラ「ラインの黄金」にドンナー役、10月NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」、6月にはプレトニョフ指揮、ロシア・ナショナル管と演奏会形式で、チャイコフスキーの歌劇「イオランタ」にエブン=ハキア役で出演。そして2019年1月・2月には井上道義指揮、森山開次演出・振付、日本語上演での「ドン・ジョヴァンニ」をタイトル・ロールとして全国4公演に出演した。日本トスティ歌曲コンクール2015 第1位および特別賞、第14回東京音楽コンクール声楽部門第2位、第52回日伊声楽コンコルソ第1位および最優秀歌曲賞受賞。現在、藤原歌劇団団員
【作詞】時雨 音羽
【作曲】中山 晋平(大正15 ・1926年)
1.鉾をおさめて 日の丸上げて
胸をドンと打ちゃ 夜あけの風が
そよろ そよろと 身に沁みわたる2.灘の生酒に 肴は鯨
樽を叩いて 故郷の唄に
ゆらり ゆらりと 陽は舞いあがる3.金の扇の 波 波 波に
縄のたすきで 故郷のおどり
男 男の 血はわきあがる4.エンヤッサ エンヤッサ
ヤンレッサ ヤンレッサ
おどりつかれて 島かと見れば
母へ 港へ みやげの鯨
「鉾をおさめて」は、遠洋の漁師たちの鯨漁の威勢のよさを詠んだ時雨音羽(しぐれ おとわ)の詩に、中山晋平が付曲。藤原義江の歌唱で人々の愛唱歌となった。
夕食後、観たいテレビもないときは、テレビ画面でYouTubeを視聴していることが多い昨今ですが、先日買い求めた「日本名歌選集」の目次で、今度は「鉾をおさめて」に目がとまり、YouTubeで検索。
すると、吾等のテナー・藤原義江さんを始め、数名の歌手のビデオがあった中に、ヴィタリ・ユシュマノフというロシア人のバリトン歌手の歌唱がありました。
三十代後半のようですが、なかなか渋いバリトンです。さっそく、写真のCDをamazonで買い求めました。
さて、この曲の思い出というと、今から三十数年前の昭和五十年代の終わり頃。
当時、顧問をしていた高校の音楽部(合唱部)は、11月に校内で開かれる文化部発表会(春の文化祭以後、ステージ発表のない文化部に配慮して開催されていました)に出演。
なにせ、指揮者が素人の、満足なプログラムが組めないような弱小コーラス部!
今から思うと「若気の至り」というのでしょうか、部員の2年男子W君(お寺の息子で、立派な体格の持ち主。荒削りですが、歌が好きで多少自信もあり、自ら入部してきたテナーでした)が「出船」(今宵出船かお名残惜しや~)を、そして私がこの「鉾をおさめて」を歌うことになりました。どちらも、中高年子のみのシブい曲です。
マイクを使わなければ良かったのですが、どうも後から聞くと、うまく拾って響いていなかったようでした。
後にも先にもステージ上の独唱はこれ1回きり!(もちろん、いろんな宴席では結構ありましたが・・・😀)
話はもどって、ロシア人のバリトンが歌う日本歌曲ですが、やはり外国人独特の子音の発音に我々日本人には少し気になるところはありますが、これはこれでコーラスをやる者には参考にすべきところがあるのではないかと思います。
この歌は出だしが高いファ(F)の音で、本来はテナーの歌でしょうが、バリトンの力強い声は、この歌にはピッタリだなという感じを強くしました。
YouTubeでの素晴らしい出会いに感謝です!!