指揮:手塚幸紀
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ
日本の作曲家・團伊玖磨が、1959年に皇太子の成婚を祝して作曲した行進曲である。楽曲は吹奏楽編成で書かれている。同年4月10日の結婚の儀の一連の式終了後に行われた馬車による祝賀御列の儀の際に演奏されたと思われることが多いが、実際には当時の音楽隊の技術的問題で演奏されていない。
戦後日本を代表する行進曲であり、海外の軍楽隊等が日本において演奏会を行う場合には、瀬戸口藤吉の「軍艦行進曲」とともに必ずといって良いほど演奏される。現在は入学式や体育祭、卒業式などに使われることが多い。また、テレビで皇太子明仁夫妻の成婚パレードが映る際にもよくBGMとして流れる(作曲者によれば、パレードで演奏されたとよく誤解されるのはこのためである)。
1964年の東京オリンピック及び1984年のロサンゼルスオリンピックの開会式、1990年(平成2年)の即位の礼、1992年の天皇訪中の際、中国側の歓迎として晩餐会で、2005年(平成17年)の黒田慶樹と紀宮清子内親王との結婚式で演奏された。(Wikipedia)
テレビで普通に番組を観ているよりも、YouTubeで音楽、落語、古い邦画、鉄道関連の動画などを観ているほうが長いというのが最近の生活です。
あなたへの「オススメ」と次々にいろんな動画を紹介してくれている中に、この「祝典行進曲」がありました。
中学3年生の時、ちょうど大阪で万博が開かれた昭和45年(1970)のこと、田舎中学のブラスバンド部(当時は吹奏楽部とは言いませんでした)でも、この曲を夏の定期演奏会で演奏しました。
1,2年生の間は、行進曲といえば「君が代行進曲」「錨を揚げて」「士官候補生」など、以前からあった古い楽譜を使って練習していたものですが、この年、「ナイルの守り」(K. アルフォード)とともにこの曲を練習するようになって、よく分からないうちにも、「曲のレベルが違うな!」(自分たちも少しは上手になったのかな?)と思ったものでした。
出だしのトランペット。切れのいいタンギングでないと、ぶち壊しですね(笑)
一転して、クラリネットとサックスの第一旋律に(ソ~~ラ~ド~ /シッソラ~ミ~~)つい引き込まれていきます。
全体は、なかなかに手の込んだ構成ですが、何よりも印象的なのは、トリオの部分の木管で演奏される旋律の美しさです。聴いているうちに、各パートの面々の顔と名前が思い出されてきます。
この曲などは、実際の行進の場面で演奏されるよりも、コンサートマーチというのでしょうか、ホールでの演奏を主にした曲だと思います。
「祝典」ですから、もちろん華やかさと気品は十分に備えているのですが、適度に抑制の利いた部分が、特に木管楽器の受け持つメロディーの部分に見られて、(それがその後も長らく愛される理由の一つかもしれませんが)大変素晴らしい曲です。
古関裕而さんの「東京オリンピックマーチ」と並ぶ、戦後の我が国の行進曲では「双璧」といえる傑作ではないでしょうか。
後に「新・祝典行進曲」が平成5年(1993)に同じく團伊玖磨さんによって、皇太子徳仁親王(今上天皇)と小和田雅子(皇后)さん のご成婚を祝して作曲されていますが、失礼ながら、やはりこの曲には及ばないような気がします。
今度の東京オリンピック(現時点では、どうなるのか分かりませんが・・・)でも、使ってほしい名曲です。
※團伊玖磨さんは、あらゆるジャンルに後世に残る作品を多数書いておられます。
童謡の「ぞうさん」(まど・みちお作詞)といえば、知らない人のない歌でしょう。
合唱をやった者には、「岬の墓」、それに「筑後川」が忘れられない名曲です。