毎週木曜日の夜は、布団に入ってからラジコでラジオ大阪「噺家の時間」を聴いています。
木曜の担当は笑福亭鶴二さんと女道楽の内海英華さんです。鶴二さんは、ああ見えて(失礼!)なかなか噺のお上手な方で、口八丁手八丁の英華姐さんとの掛け合いの面白さにハマっています。
毎回、番組の最後に、英華さんが「思い出の芸人さん」を紹介するコーナーがあるのですが、昨夜は、花紀京さんでした。
内容は、昔から関西のお笑いに興味のあった私にとっては、特に目新しいというものではありませんでしたが、その後にかかった「吉本新喜劇のオープニングテーマ」が印象的でした。
というのも、関西人なら誰でも知っている(?)あの『フンワカパッパ』の他にもう一つあるというのです。聴くと、確かに聞き覚えのある軽快なメロディーです。
調べると、これは『生産性向上のためのBG音楽 工場向け第一集その5』(作曲:山根正義)というのだそうで、とてもコメディーのオープニングテーマとは思えません。
「生産性向上のためのBG音楽 工場向け第一集その5」(作曲:山根正義 演奏:コロムビア・オーケストラ 1962年ごろに日本コロムビアから発売されたアルバム「生産性向上のためのBG音楽 工場向け第一集」収録 1980年代まで)
※放送では、この曲をBGMに、吉本興業所属の漫画家・木川かえるの描くうめだ花月周辺の風景画(人物は蛙によって擬人化されていた)を背景に、出演者とスタッフ名がテロップで流された。
※うめだ花月では、この曲が実際の舞台でも緞帳を上げるときに流れていた。 (Wikipedia)
初任地が伊丹だったので、「うめだ花月」にも何度か行きましたし、テレビの生中継でも、この音楽を聴いた記憶がよみがえってきました。
ご多分に漏れず、私も昭和40年代の小中学生の頃から、土曜日の昼下がりに放送されている吉本新喜劇を、よく観ていました。
今でもお顔とお名前が懐かしく思い出されるのは、次のような方々でしょうか。
花紀京 岡八郎 平参平 原哲男 船場太郎 桑原和男 間寛平等々
さて、関西人なら誰でも知っているという「ホンワカパッパ ホンワカホンワカ」のほうですが、これも意外でした。
CMの作曲で知られる「浪速のモーツァルト」キダタローさんあたりの作曲かなと思っていたら、元々は「Somebody Stole My Gal」(女を誰かにとられてしまった)という題名の1918年(大正7年)のアメリカの歌だそうです。
吉本新喜劇のオープニング曲として有名になったのは、トロンボーンプレイヤーであるPee Wee Hunt氏のデキシーランドジャズ・スタイルの演奏です。ベニー・グッドマンによるスウィングジャズの名演奏もあります。 https://www.music8.com/products/detail4616.php
話は、「もう一つの」ほうに戻りますが、あのコテコテのどぎつい関西風お笑い番組のオープニングテーマが、元は「生産性向上のための・・・」だったなんて・・・。そのギャップにちょっと違和感を覚えたりもします。
ですが、考えようによれば、上演開始から60年以上にわたり関西人に親しまれているこの番組も、視聴者のストレス解消という意味では間接的に「生産性向上」に寄与しているとは言えないでしょうか!?
今回は、「インダストリアルミュージック」というジャンルがあるのを知りました。
直訳は「工業音楽」ですが、要するに生産性向上のためのBGMのことです。
第二次世界大戦中、アメリカは戦備を整えるために、兵器開発の効率運営を追求しました。そのために実践された方法が「インダストリアルミュージック」(工業音楽)でした。工場員の作業能率を上げる目的で、アップテンポな音楽をBGMとして活用したのです。その効果により労働生産性は著しく上昇したといわれています。
https://sound-design.usen.com/feature/office-bgm/office-bgm127.html
この手法は戦後日本にも入ってきたそうです。
1960年頃に松下電器(現パナソニック)でBGMと生産性の関連を研究した方の報告がありました。やはり、一定の効果が得られたそうです。
「BGM で生産性があがる ?というむかしの話」
『日本音 響学会誌 63 巻 7 号 』(2007)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/63/7/63_KJ00004621130/_pdf
今回は、思いがけず、「オープニングテーマ」から「インダストリアルミュージック」へと発展してしまいました。
ちょっとネタ切れを意識していた最近ですが、「オープニングテーマ」なら、以前に「巨人の星」のそれをとり上げましたが、他にもたくさんありそうです(笑)