https://www.youtube.com/watch?v=HXn2qAN_xww
歌唱:フォレスタ
中山晋平作曲、海野厚作詞
大正12年(1923)5月、童謡集『子供達の歌 第三集』
1
柱のきずは おととしの
五月五日の 背くらべ
粽(ちまき)たべたべ 兄さんが
計ってくれた 背のたけ
きのうくらべりゃ 何(なん)のこと
やっと羽織の 紐(ひも)のたけ2
柱に凭(もた)れりゃ すぐ見える
遠いお山も 背くらべ
雲の上まで 顔だして
てんでに背伸(せのび) していても
雪の帽子を ぬいでさえ
一はやっぱり 富士の山
海野厚
1897年(明治30年)静岡市曲金に生まれる。西豊田小学校、旧制静岡中学、早稲田大学卒。俳人。詩や小説も書き、子どものための雑誌の編集も手がけるが、肺結核のため、28才の若さで亡くなる。「背くらべ」、「おもちゃのマーチ」などの作詞で知られる。
1887年(明治20年)3月22日 - 1952年(昭和27年)12月30日)は、日本の作曲家。多くの傑作といわれる童謡・流行歌・新民謡などを残した。作品は多岐にわたり、校歌や社歌等を含め中山の作品と判明しているものだけで1770曲存在する。
一部の作品は現在も抒情歌または日本歌曲として歌い継がれている。長調の曲はほとんどがヨナ抜き音階で書かれている。また、童謡には「兎のダンス」や「蛙(かはづ)の夜回り」のようなピョンコ節がかなりある。その作品群は独特の曲調から俗に「晋平節」と呼ばれ親しまれている。
童謡『シャボン玉』『てるてる坊主』『あめふり』雨降りお月』『証城寺の狸囃子』
『こがね虫』『あの町この町』『背くらべ』『まりと殿様』 (毬と殿様)
『砂山』
流行歌『カチューシャの唄』『ゴンドラの唄』『さすらいの唄』『船頭小唄』『波浮の港』
『出船の港』『東京行進曲』
長い人は10日にもわたる休みが取れたという今年のゴールデンウィーク。
(娘はクロアチア、モンテネグロなど南欧方面へ新婚旅行に・・・)
毎年、この頃になるとラジオなどから流れてくるのが、この「背くらべ」の歌です。
最近、有料音楽配信のSpotifyで、ネットサーフィンではありませんが、脈絡なく色々聴いている中にこの曲が出て来ました。
改めて歌詞を見ると、「柱のきずは おととしの」なんですね。なぜ、去年ではないのでしょうか?このあたりに疑問を持つ人が多いようで、ネット検索で「背くらべ」と入れると、「~なぜおととし」とくっついて候補が出て来ます。
もう一つは「やっと羽織の 紐(ひも)のたけ」です。
どう考えても、羽織の紐は子どもの背丈もあるはずはありません。
前者については、多くの人が解説をしてくれています。その中のひとつです。
柱のキズは何故「おととし」?
さて、童謡『背くらべ』の歌詞を見ると、柱のキズは「おととしの」5月5日につけたとされているが、何故「昨年」のキズではないのか?と素朴な疑問が生じる。実はこの疑問を解くカギは、作詞者である海野の経歴に隠されていた。海野 厚(うんの あつし/1896-1925)は、静岡県豊田村曲金(現在の静岡市駿河区)の出身。7人兄弟の長兄。旧制静岡中学卒業後、早稲田大学に入学するため、地元の静岡を離れ一人上京している。
童話雑誌「赤い鳥」に投稿した作品が北原白秋に認められ、海野は童謡作家となった。都会の生活にも慣れ、俳句や童謡の世界に没頭した海野は、病弱だったこともあり、1919年を最後に地元の静岡には帰郷していないという。
弟は元気に暮らしているだろうか?
実家には3人の妹と3人の弟がいた。中でも17歳年下の春樹は、海野にとって特別に可愛い存在だったという。しばらく帰っていない地元で暮らす可愛い弟。もう2年も帰省していないが、弟は大きくなっているだろうか?元気に暮らしているだろうか?そんな切ない思いが童謡『背くらべ』の歌詞に込められているという。
「世界の民謡・童謡」https://www.worldfolksong.com/songbook/japan/seikurabe.html
後者の疑問については、
Q:『背くらべ』の歌詞の中で、全体の意味と、特に、一番の「やっと羽織のひものたけ」という歌詞のところの意味が知りたいです。
A:「羽織のひものたけ」は、1、お兄さんの羽織のひもの高さということで、お兄さんの胸のあたり。2、ひものたけだから、2年間でひもの長さぐらい伸びた。
このように意見がわかれているようです。
「レファレンス協同データベース」
成長期にある子どもとはいえ、2の説のように2年間で15~20センチも伸びるものでしょうか?そんなに伸びたとしたら「やっと」とは言わないのではないでしょうか。
作詞者と弟さんとは17歳も離れていたということで、叔父さんと甥っ子ぐらいの感じですから、やはり、ここは1の説に説得力があるように思いますね。
以上、こうした作詞の背景を知ると、歌の味わいがぐっと深まるようになりますね。