思い出の中のあの歌この曲

メロディーとともによみがえるあの頃の・・・

♪ 佐藤真「土の歌」(農夫と土・大地讃頌など)

www.youtube.com

f:id:sf63fs:20210102115844j:plain

【土の歌】Shin Sato: Cantata the Songs of Land (Extracts)【東京混声合唱団&神戸市混声合唱

2020.12.12いずみホール

このブログもはや三年目に入りました。
2021年の第1回目は、合唱曲として有名な大地讃頌を含む「土の歌」をとりあげました。

昨年の12月12日に大阪のいずみホールで開かれた東京混声の演奏会では、AB二つのプログラムがあり、16時開始のBプロの1曲目が神戸市混声との合同でこの曲でした。
帰宅時間を考慮して、Aプロを選んだ私たちでしたが、年末に東京混声のYouTubeチャンネルで、当日の演奏(抜粋)がアップされているのを見つけ、年をまたいで繰り返し聴いています。

 大地讃頌」を歌ったのはいつのことだったか、すっかり忘却の彼方ですが、探したら楽譜はありました。
(ただ、使った形跡、書き込みなど一切ありませんでしたが)

今回、この曲を取り上げるに際して、作詞の大木惇夫(1895~1957)について、ちょっと調べてみましたが、この方は広島の生まれなんですね。

 

f:id:sf63fs:20210102120420j:plain

組曲の中には下のように、3楽章で原爆禍が取り上げられています。

第1楽章:「農夫と土」 _ 自然の恵みの神秘、土への感謝
第2楽章:「祖国の土」 _ 人は皆土に生まれ、土に還っていく
第3楽章:「死の灰」  _ 原爆について取り上げられ、人間と科学の汚さ
第4楽章:「もぐらもち」_ モグラに例えた人間への皮肉
第5楽章:「天地の怒り」_ 天災と人間悪について
第6楽章:「地上の祈り」_ 大地への想いと反戦の祈り
第7楽章:「大地讃頌」 _ 本作品を締めくくる大地への限りない讃歌
 

自然や土への感謝から始まり、大木惇夫の故郷を襲った原爆や天災、人間悪に触れた上で、大地への感謝と反戦の祈りへと昇華されていきます。
(浪江から平和の思いを!大地讃頌とともに土の歌を全国へ
福島で歌おう「土の歌」合唱団実行委員会)

 

土の歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
混声合唱とオーケストラのためのカンタータ『土の歌』は、大木惇夫(本名:大木軍一)が作詞、佐藤眞が作曲したカンタータ。日本ビクターの委嘱により、1962年に作曲された。

楽曲は、タイトル通り混声合唱団と管弦楽団によって演奏するために書かれており、初演は、指揮:岩城宏之混声合唱:東京混声合唱団、管弦楽NHK交響楽団により行われた。

後に、ピアノ伴奏版が作られたことにより、中でも当楽曲を構成する楽章の一つである終楽章「大地讃頌が、中学校をはじめとする日本の学校教育の現場において、合唱コンクールや卒業式などで歌われる定番曲として広く知られ定着している

 

第一楽章「農夫と土」
耕して 種子(たね)を撒(ま)く土
人みなのいのちの糧を
創(つく)り出す土
 耕して種子を撒く者
 農夫らの楽しみの種子
 悲しみの種子
  ともかくも種子がいのちだ
  朝 星をみて 野良に出る
  働いて 額に汗して
  夕星を見て帰るのだ
種子をはぐくむ土こそは
種子をまく者の夢だ 望みだ
そして祈りだ
花さき みのる 毎年(まいねん)の
約束の不思議さよ

 

第七楽章「大地讃頌
母なる大地のふところに   
われら人の子の喜びはある
大地を愛せよ
大地に生きる人の子ら
その立つ土に感謝せよ

平和な大地を
静かな大地を
大地をほめよ たたえよ土を
恩寵(おんちょう)のゆたかな大地
われら人の子の
大地をほめよ
たたえよ 土を
母なる大地を
たたえよ ほめよ
たたえよ 土を
母なる大地を ああ
たたえよ大地を ああ

 

第一楽章の「農夫と土」
作詞の大木さんに農業の経験はなかったよう(ひょっとして疎開先ではあったのかも)ですが、私のように稲作農家の真似事をしている程度の者にも、その意味が少しは実感を伴ってわかるような歌詞となっています。
 それは、「農夫らの楽しみの種子/悲しみの種子/ともかくも種子がいのちだ」というフレーズの「楽しみの/悲しみの」という部分です。
(米作りの場合は「苗」に置き換えるべきでしょうが)

終曲の「大地讃頌」よりも、こちらの方が今となっては歌ってみたい曲ですね。

 

 第七楽章「大地讃頌」はあまりに有名!

中学校の卒業式などでも一時よく歌われていました。YouTubeには、にわか指揮者のための「指揮の仕方」という動画があるぐらいです。

カンタータ(交声曲)というスケールの大きな合唱組曲は、我が国にもいくつかあるようですが、この歌ほど多くの人々に歌われ、親しまれているものはないと思われます。アマチュアの場合はピアノ伴奏がほとんどですが、中にはオケ伴奏のものもYouTubeで視聴できます(だいぶ昔の東京混声の動画もたしかありました。)

作曲の佐藤真さんと言えば、あの合唱組曲の名曲「旅」でも有名ですね。

我々年代以上の者で、これを知らない合唱ファンはモグリだと言ってもいいでしょう(笑)

最近は、こういう割と素人でも歌いやすい曲が少なくなってきたように思います。

確かに、NT氏のような素晴らしい作曲・編曲をされる方もいらっしゃいますが、どうも若い人中心でレベルの高い合唱団は別として、私の所属しているような高齢者中心のコーラスではちょっと難度が高い曲が多いように思われて仕方ありません。

「何十年にも渡り、広い世代に歌い継がれるような合唱曲!」

まさに、この「土の歌」や「旅」などがそれに当たるでしょう。