思い出の中のあの歌この曲

メロディーとともによみがえるあの頃の・・・

♪ 「喜びも悲しみも幾年月」

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『喜びも悲しみも幾歳月』(昭和32年・1957)

作詞・作曲:木下忠司、唄:若山 彰

1 俺(おい)ら岬の 灯台守は
  妻と二人で 沖行く船の
  無事を祈って 灯(ひ)をかざす
  灯をかざす

2 冬が来たぞと 海鳥なけば
  北は雪国 吹雪の夜の
  沖に霧笛が 呼びかける
  呼びかける

3 離れ小島に 南の風が
  吹けば春来る 花の香(か)便り
  遠い故里 思い出す
  思い出す

4 朝に夕(ゆうべ)に 入船出船
  妻よがんばれ 涙をぬぐえ
  もえてきらめく 夏の海
  夏の海

5 星を数えて 波の音(ね)きいて
  共に過ごした 幾歳月(いくとしつき)の
  よろこび悲しみ 目に浮かぶ
  目に浮かぶ

※4番の歌詞に記憶がありません。実際にはあまり歌われてなかったのかもしれません。

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『喜びも悲しみも幾歳月』は、1957年に松竹が制作・公開した、木下惠介監督の映画作品である。
海の安全を守るため、日本各地の辺地に点在する灯台を転々としながら厳しい駐在生活を送る灯台守夫婦の、戦前から戦後に至る25年間を描いた長編ドラマである。

1956年に雑誌掲載された福島県塩屋埼灯台長(当時)田中績(いさお)の妻・きよの手記から題材を得て、木下監督自身が脚本を執筆した。全編にわたりカラー映像で撮影され、単なるホームドラマの枠を超えて日本各地の美しく厳しい風景を活写した大作で、公開当時大ヒット作となり、同年の芸術祭賞を受賞した。

若山彰の歌唱による同名主題歌の「喜びも悲しみも幾歳月」も大ヒットし、後世でも過去の著名なヒット曲としてしばしば紹介されている。

観音崎御前崎、安乗崎、野寒布岬、三原山五島列島、瀬戸内海の男木島、女木島など全国でロケーション撮影を敢行し、ロードムービーの一種としても楽しめる作品である。

後年、3度に渡りテレビドラマ化されたほか、1986年には木下監督自身により時代の変化を加味したリメイク版『新・喜びも悲しみも幾歳月』も映画化されている。 (Wikipedia

この映画を観たような記憶がほんの微かにはあるのですが、それが映画館だったのか、それともテレビだったのか、確かめるすべがありません。
小学校での映画鑑賞などという可能性もありますが・・・。

ストーリーは忘れても、主題歌のほうは今もはっきりと覚えています。
歌い手の若山彰さんは、六甲おろし(「阪神タイガースの歌」)なども朗々と歌われていて、50代以下ではお名前を知らない方が今や大半でしょうが、「ああ!あの歌の!!」と気づかれることと思います。

「南国情話」を取り上げた2020年9月26日の本ブログでも少し触れましたが、若山彰(本名・平川純男、1927年広島県三原市生まれ、1951年24歳でデビュー、1998年69歳で死去)さんは、母校広島大学教育学部の前身校の一つである、広島臨時教員養成所(1940年、広島文理科大学に付設された)の物理化学科の第5回卒業(昭和22年・1947)24名のうちのお一人でした。

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Wikipediaをはじめ、ネット上では広島文理科大学卒業のように記載されていますが、文理科大学へは高等師範学校や当校を卒業後に進学していましたから、細かいことですが、誤りです。手元にある古い年次別の卒業生名簿で確認しました

 

この歌で、前々から感じていたことが二つあります。

一つは曲の短さ、もう一つはイントロの素晴らしさです
数えてみますと、イントロが8小節なのに対して、歌の部分は14小節となっています
楽曲の作りには、一部形式とか二部形式とかあるようですが、(不勉強でよく分かっていませんが)14小節というのはちょっと短いのではという印象は受けます。

ですが、それを補って余りあるメロディーの素晴らしさがあることは言うまでもありません!!

 

もう一つの特徴は、イントロの力強さです。

そういえば、テレビドラマ水戸黄門の主題歌「あゝ人生に涙あり」 (作詞・山上路夫) も木下さんの作曲ですが、やはりあの男性的でリズミカルなイントロは、何十年経っても忘れられませんね。
この歌の場合は、ドラマチックな展開を予見させるかのような、出だしの管楽器とバイオリンの掛け合い、さらには歌の入り直前の2小節の畳みかけるような音の動き。

そして、その勢いを保ったまま、「俺ら岬の・・・」と歌に突入するようなところに、一度聴いたら忘れられないインパクがあるように思います。

 

※作曲の木下忠司(ちゅうじ)さんは、映画監督・木下恵介氏の弟さんだったと、今回初めて知りました。ネット上に3年前の訃報を見つけました。

映画「喜びも悲しみも幾歳月」、テレビ時代劇「水戸黄門」の主題歌を始め、数多くの日本映画やドラマの音楽を手がけた音楽家の木下忠司(きのした・ちゅうじ)さんが4月30日、老衰で死去した。102歳だった。葬儀は親族で営んだ。
 46年、兄の木下恵介監督の「わが恋せし乙女」で映画音楽家としてデビュー。以来、「カルメン故郷に帰る」(51年)や「二十四の瞳」(54年)、「野菊の如き君なりき」(55年)など恵介監督のほぼ全作品の音楽を担当。特に57年、作詞・作曲をした「喜びも悲しみも幾歳月」の主題歌は、灯台守の心意気を力強く表現して大ヒットした。
 ほかにも、小林正樹監督の「人間の條件」シリーズ(59~61年)や菅原文太主演の「トラック野郎」シリーズ(75~79年)、アニメ「白蛇伝」(58年)など多彩な作品の音楽を手がけ、88年までに480本を超える映画音楽を作った。またテレビでもドラマ「水戸黄門」や「泣いてたまるか」の主題歌やCM音楽など数多くを作曲している。

2018年5月7日 朝日新聞

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(木下忠司さん、100歳の頃)