作曲:舟橋栄吉
作詞:杉村楚人冠
一
ただ一面に立ちこめた
牧場の朝の霧の海
ポプラ並木のうっすりと
黒い底から 勇ましく
鐘が鳴る鳴る かんかんと
二
もう起き出した小舎小舎の
あたりに高い人の声
霧に包まれ あちこちに
動く羊の幾群の
鈴が鳴る鳴る りんりんと
三
今さし昇る日の影に
夢からさめた森や山
あかい光に染められた
遠い野末に 牧童の
笛が鳴る鳴る ぴいぴいと
牧場の朝(まきばのあさ)は、日本の文部省唱歌の一つ。福島県岩瀬郡鏡石町にある牧場、岩瀬牧場がモデルとなったとされる。作詞者は定説として杉村楚人冠、作曲は船橋栄吉。初出は1932年12月「新訂尋常小学唱歌(四)」。
鏡石町ではこの楽曲を町歌に相当する「町のシンボルソング」と定めている。
先日、所属する混声合唱団の4年ぶりの定期演奏会が無事に終わり、今後の練習曲目を見た中に、この「牧場の朝」がありました。
戦前・戦後を通じて小学校の音楽教科書(4年生)に載り続けた有名な歌ですから、もちろん知ってはいるたのですが、それよりも毎朝食べているヨーグルトの商品名が同じなので、心の中で苦笑したようなことです。
いつかもこのブログの中で書きましたが、小学4年生当時の私は、歌は好きなものの、人前で歌わなければいけない音楽のテストとなると、口から心臓が飛び出しそうになるぐらいドキドキするほうで、歌唱には全く自信がありませんでした。
ただ、歌詞の中の表現にはこだわる(?)ほう(後に国語科教員となったことと関係があるのでしょうか・(^0^))で、一番の「うっすりと」とか「黒い底から 勇ましく」(「黒い底」って?)などの言い回しが、妙にその後も長らく心に残り続けたのでした。
最近、ネットで検索していると、作曲者の舟橋栄吉氏は兵庫県明石市の出身。東京音楽学校(現・東京芸術大学音楽学部)では声楽科の主任教授として、あの藤山一郎さんなどの恩師に当たる人であったとか。
また、長らく「作詞者不詳」(昔の文部省唱歌には多かった)とされてきたものが、実はジャーナリストの杉村楚人冠によるものだということが定説となっていることも初めて知りました。
(高等女学校の教科書(「女子新読本 巻四」至文堂、大正15年)などに掲載された杉村楚人冠の紀行文「牧場の暁」の内容が、この曲の歌詞に似ていることなどから・・・)
昭和7年(1932)に当時の尋常小学校4年の音楽教科書に採られてから、90年も歌われ続けているという名曲なんですね。
今後練習で歌うのは混声四部に編曲されており、バスの声部ではメロディーは期待できませんが、今から楽しみにしています。
なお、福島県の岩瀬牧場は観光地としても有名なようで、なんと「楚人冠ヨーグルト」なるものも販売しているようです。