思い出の中のあの歌この曲

メロディーとともによみがえるあの頃の・・・

♪雲に聳ゆる 高千穂の~ 「紀元節」

 

紀元節の歌 - Bing video

 

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四大節における勅語奉読と祝歌斉唱の様子)

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今日は例年に比べ、ずいぶんと暖かい「建国記念の日」となりました。

一年前の今日は、当地には珍しく雪の 朝を迎えて、始めたばかりのブログでそのことをとり上げました。

 

雪の朝 ~建国記念の日~ - 『坊っちゃん』に見る明治の中学校あれこれ

 

さて、「建国記念の日」を制定するにあたって、科学的根拠がないとか皇国史観の復活だなどといった議論があったと言われていますが、それはさておき、今回は歌詞についてみていきたいと思います。

※印 難解な表現は現代語(意訳)に直してみました。

   
 
紀元節」 明治21年(1888)
高崎正風 作歌 伊沢修二 作曲
 (「祝日大祭日歌詞並楽譜」より)
 
第一章

くもそびゆる高千穂たかちほの。高根たかねおろしにくさ
も。なびきふしけん大御世おほみよを。あふ
今日けふこそたのしけれ。

※高根おろし・・・高い峰から吹き降ろす風
なびきふしけん・・・靡き伏したと言われている
 
第二章

海原うなばらなせる埴安はにやすの。いけのおもよりなほ
ろき。めぐみのなみみしを。あふぐ
けふこそたのしけれ。

※海原なせる・・・海のように広く見える
 めぐみの波に浴みし世・・・(天皇の)恩恵に浴した時代
 
第三章

天津あまつひつぎのたかみくら。千代ちよよろづよ
うごきなき。もとゐさだめしそのかみを。
あふぐけふこそたのしけれ。

※天津あまつひつぎ・・・皇位を継承すること。

たかみくら(高御座)・・・大極殿や紫宸殿などに設けられた天皇の御座から転じて天皇皇位

千代ちよよろづよ・・・千年万年、永遠

もとゐさだめしそのかみを・・・(国家の)基礎を定めたその当時のことを

 
第四章

そらにかゞやくのもとの。よろづくににた
ぐひなき。くにのみはしらたてしを。あ
ふぐけふこそたのしけれ。

※万の国にたぐひなき・・・世界に比類ない。

くにのみはしら・・・国家の柱となるべき存在のこと

 

 四大節①新年節(1月1日)②紀元節(2月11日)③天長節(4月29日)④明治節(11月3日)それぞれに唱歌が作られていました。

初代文部大臣の森有礼の命によるものだということはよく知られています。

その4つの歌の歌詞の中でも、この「紀元節」の歌詞が(建国神話をもとにしているので当然でしょうが)格段に難しいですね。

 

紀元節」は昭和23年(1948)GHQの意向で廃止されたということですから、この歌を歌ったことのある人は、若くて80歳すぎということになるのでしょうか。

 「建国記念の日」=旧「紀元節」などという認識も、歴史に関心のある方は別として、50代、60代以上の人でないと、もうあまりないのかもしれませんね。

別に「紀元節の復活」を望むものではありませんが、忘れ去られるには惜しい歌だと思います。

 

#40年近く古文や漢文を教えた経験から言いますと、この歌の歌詞を普通の高校生に理解させるには、相当なエネルギー(?)が必要と思われます(笑)