https://www.youtube.com/watch?v=kJOi-_EnZug
作詞:吉岡治、作曲:市川昭介
「さざんかの宿」 大川栄策 1982年
1 くもりガラスを手で拭いて
あなた明日(あした)が見えますか
愛しても 愛しても
ああ 他人(ひと)の妻
赤く咲いても冬の花
咲いてさびしい さざんかの宿
2 ぬいた指輪の罪のあと
かんでください 思いきり
燃えたって 燃えたって
ああ 他人の妻
運命(さだめ)かなしい冬の花
明日(あす)はいらない さざんかの宿
3 せめて朝まで腕の中
夢を見させてくれますか
つくしても つくしても
ああ 他人の妻
ふたり咲いても冬の花
春はいつくる さざんかの宿
その昔よく聴いて、ときおり口ずさんだり、カラオケ(長らく行ってないな(;。;))で十八番にしていた歌(歌謡曲)の中には、イントロから間奏、後奏までを、何十年経っても頭の中で再現できるものがあります。
今から40年余り前に大ヒット(累計180万枚の売り上げ)した「さざんかの宿」(大川栄策)はその代表格と言えるでしょう。
当時、母校に勤務していましたが、所属する学年の宴会などでは、「小樽の人よ」「憧れのハワイ航路」などと並んで、よく歌った(歌わされた?)ものでした。
独身の者が好んで歌うにしては、歌詞はまさしく「不倫」(この歌が流行して後、テレビドラマの影響で、一般に知られるようになったとか)そのもので、我慢して聴いていた同僚たちは、そのミスマッチを笑っていたことでしょう。(そのうちの数名が鬼籍にはいってしまわれました(;。;))
今思うと、作曲された市川昭介さん(昭和8年~平成18年・1933~2006)のメロディーの素晴らしさに惹かれたのではないかと思います。
市川さんには、「夫婦春秋」(村田英雄)、「涙の連絡船」(都はるみ)、「絶唱」(舟木一夫)、「出世街道」(畠山みどり)、「鳳仙花」(島倉千代子)など、10代の頃から好んで聴いていた大ヒット曲がたくさんありました。たまにテレビで見かけるあの笑顔と優しいお声が今も忘れられません。
その当時は、若気の至りというか、下手の横好きというか、音楽部(コーラス部)の指導なんかしていましたが、調子に乗って、特にサビの部分ではひときわ声を張り上げていたと思うと、お恥ずかしいかぎりです。
昨夜、布団の中でラジオを聴いていると、ひいきの噺家・笑福亭松喬さんが「‘’しまった しまった 島倉千代子‘’ なんていうギャク 今の若い人は知らんやろうな!」などと言っていたところから、ずいぶんと飛躍してこの歌のことを思い出したような次第です。
Wikipediaで調べると、大川栄策さんも今年で後期高齢者の仲間入りのようです。
今風の歌手とは違って、若い頃からその風貌には「苦労人」の印象がありました。
この大ヒット曲もデビューから32曲目ということで、ご多分にもれず下積みの期間がずいぶんと長かったようです。
決して美声というわけではなく、また失礼ながら目を引く容姿というわけでもなく、本当に磨き上げた歌唱力と素晴らしい曲との出会いによって、歌謡史に名を残した人と言えるのではないでしょうか。
昔の歌謡ショーでは、イントロの部分に司会者の曲紹介がよく入りました。
終わりに、名司会者・玉置宏さんの七五調の名調子を紹介してみましょう。
けして見せない 涙の糸は
キラリと光って 雨になる
雨に打たれた 女の髪は
悲しみたたえて また光る
叶わぬ願いに ぬれながら
鏡を見つめて 朝を待つ
「さざんかの宿」
「玉置宏のナレーション大全集」(玉置宏)
https://lp6ac4.hatenablog.com/entry/20150908