思い出の中のあの歌この曲

メロディーとともによみがえるあの頃の・・・

♪ 「南国情話」

https://www.youtube.com/watch?v=vnRZ-YD6GvY

 

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「南国情話」  (若山彰・能沢佳子)
作詩:石本美由起 作曲:三界 稔
一、
 岬の風に 泣いて散る 浜木綿悲し 恋の花 薩摩娘は 長崎鼻の 海を眺めて 君慕う
 二、
 開聞岳の 山の巣に 日暮れは鳥も 帰るのに 君は船乗り 竹島遥か 今日も帰らず 夜が来る
三、
 悲しい恋の 舟歌を 歌うて一人 波枕 あの娘思えば 男のくせに 握る櫓綱(ろづな)も ままならぬ
四、
 逢えない人を 慕わせる 今宵の月の 冷たさよ 可愛いあの娘も 長崎鼻で 一人眺めて 泣くだろう

 

 

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何年ほど前になるでしょうか、年末(たぶん大晦日)にNHKの鹿児島放送局から中継していた音楽の特集番組をたまたま観ていたことがありました。
鹿児島は、高校二年の修学旅行、初任校時代の友達の結婚式、そして28年目の新婚旅行と三度にわたって訪れた土地です。
そういうこともあって、大晦日の忙しいときなのに、つい観入ってしまったものと思います。
その番組の中で、オーケストラと合唱による演奏があり、メロディーラインがすばらしく印象的であったために、すぐさま曲名を調べ、amazonでCDを注文しました。
それが、この「南国情話」だったのです。
CDは大手のお店ではなく、たしか鹿児島のショップから送られてきました。

 

特に頭から離れなかったフレーズは「薩摩娘は 長崎鼻の」の部分で、編曲もよかったのでしょうが、忘れられない旋律の一つとなりました。

この歌が紹介される際に、鹿児島民謡という前置きがついていることがあります。たしかに鹿児島県には違いないのですが、正確には奄美民謡」というべきでしょうか。
作曲の三界稔氏については、あの「島育ち」が有名で、子どもの頃バタヤンこと田端義夫さんの歌をよく聴いたものでした。

1901-1961 昭和時代の作曲家。
明治34年2月10日生まれ。昭和9年ポリドールの専属となる。13年「上海(シヤンハイ)だより」が上原敏(びん)の歌でヒット。戦後は郷里鹿児島県奄美(あまみ)大島をテーマとした田端義夫歌唱の「島育ち」などを作曲した。昭和36年6月13日死去。60歳。東洋音楽学校(現東京音大)卒。本名は実友(さねとも)。

レコードは若山彰・能沢佳子」のデュエットで発売され、昭和40年代の初めから50年代前半にかけて、指宿駅に新婚客を乗せた列車が着くたびに、次の曲が流れ歓迎していたそうです。
また、観光名所の長崎鼻では、四六時中この歌が大きな音で流され、初めて訪れた観光客が苦笑するほどであったとも。
私も、昭和47年(1972)秋の修学旅行では立ち寄ったとは思うのですが、すっかり忘却の彼方です。
今回、この歌を取り上げるに当たって、例によってネットで色々と見ているうちに、次のようなブログ(冒頭にリンク)に遭遇しました。
なんと筆者は私の高校の先輩(11歳上になりますか)!
この「南国情話」がきっかけで船乗りをめざし、それが実現したと書いておられます。

「南国情話」
 この歌は昭和36年(1961年)、兵庫県立小野高等学校の修学旅行で宮崎と鹿児島へ行きました。その時、地元のバスガイドさんが歌ってくれた歌です。彼女は宮崎交通のバスガイドさんで、年の頃は二十代前半、十七才の高校生には魅力的な年上のお姉さんでした。この歌を何度も歌って貰い歌詞もメロディーも覚えてしまいました。
 この歌の「竹島遥か(鹿児島県三島村竹島)」へ行きたいと思いその後、船乗りになってしまった思い出の曲です。この時もそうですが、自身の進路など重要な事柄を些細なことで決めてきた気がします。特に恋がそうです。これは年齢とは全く関係ありません。南国情話が筆者を船乗りにさせました。歌が人生を決定することもあるのです。
(筆者)「竹島遥か(鹿児島県三島村竹島)」の海図で地中海への船旅が出来ます。
 船はマラッカ海峡からインド洋へ、そして紅海からスエズ運河を通り地中海へ行きます。船が九州を離れる時、見送ってくれ、また帰って来た時、最初に迎えてくれるのが開聞岳(薩摩富士)なのです。

ブログ「万葉ジョーク」

 ちなみに、上のレコードで歌っている若山彰さんは映画「喜びも悲しみも幾歳月」の主題歌「おいら岬の灯台守は・・・」でよく知られている歌手ですが、私の大学の大先輩になります。(広島文理科大学卒業、その後武蔵野音大で声楽を学ぶ)
 

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その後、YouTubeをよく視聴するようになって、この「南国情話」をこまどり姉妹も歌っていることを知りました。
元の歌(昭和29年・1954)から10年後くらい後のことで、歌詞は下記のように変わり、舞台も薩摩半島から大隅半島佐多岬と移っています。
「漁師と娘の悲恋」を歌ったこの歌の内容からは、若山彰さんの朗々とした歌い方もたしかによろしいのですが、こまどりさんの哀愁を帯びた歌声も捨てがたいですね!!

作詩:石本美由起 作曲:三界 稔

  1 逢えなくなればなおさらに  逢いたさばかり増すという
      恋は心の灯台あかり    燃えて別れた人を呼ぶ

  2 南の風に泣いて散る 浜木綿悲し佐多岬
   おごじょ哀しや黒潮むせぶ 海を見つめて君を待つ

  3 開聞岳の夕映えは 誰ゆえ赤く燃えるやら
   君は舟人屋久島はるか 今日も帰らず夜が来る