演奏:陸上自衛隊中央音楽隊
言わずと知れた、NHKスポーツ中継番組のオープニングテーマ曲です。
菊池清麿『評伝 古関裕而』(彩流社)には作曲のいきさつが書かれています。
それによると、戦前からのNHKの名アナウンサー藤倉修一と親交のあった古関が、昭和22年(1947)頃にスポーツ実況放送のテーマを依頼されたとのことです。
古関は放送のために作られた短いテーマを中心にしながら、一つの行進曲に仕上げた。戦後の平和日本のスポーツ放送のテーマにふさわしい、颯爽とした軽快で躍動感のある楽曲だった。・・・・ 放送が始まると反響が大きかった。「作曲者はだれなのか」「作曲者が日本人ならだれなのか」という問い合わせがMHKに殺到したのである。古関は感無量だった。
昭和24年にレコード化され、学校運動会でよく流れるようになった。大地を力強く堂々と踏みしめる《スポーツショー行進曲》は、戦後日本の未来を担う青少年たちに躍動感あふれる快い響きを与えたのである。
※NHK・FM2020年3月28日放送の「クラシックの迷宮 ▽作曲家・古関裕而のバック音楽集~NHKアーカイブスから~」では、冒頭で「開始A」「開始B」「終了」の3パターンが放送されていました。
現在、youtubeで聴くことができます。
※※「スポーツ行進曲」という紛らわしい名前の曲があります。こちらは昭和28年(1953)に黛敏郎が作曲した管弦楽のための行進曲です。(通称は「日本テレビスポーツのテーマ」)
この曲も「ひるのいこい」と同じく、たいへん息の長い名曲ですね。
昭和30年代から小中学校の運動会などでも、入場行進の音楽としてよく使われていたのではないでしょうか。
たしか、1964年の東京オリンピックでは、古関さんのあのオリンピックマーチだけでなく、長い行進の途中にこの曲も演奏されたように思うのですが・・・・。
平成の初め頃のことですが、三十代半ばで転勤した県立H高校の吹奏楽部で体育祭の入場行進曲として、この曲を演奏した覚えがあります。
初めの年は、まともにできる曲が他になくて、各パートとも技術的に難しいところのないこの曲ばかり繰り返し演奏したように思います。
今は生徒減(学級減)で、各学年わずか3クラスとなってしまいましたが、その頃は普通科と家政科で各学年10クラスありました。
入場行進にも時間がかかり、本当に飽きるぐらい繰り返しこの曲を演奏したものでした。
テレビが普及すると、民放各局でもスポーツ中継番組の初めにそれぞれのテーマ曲を流すようになりました。
それらの曲を聴くと、その時々熱心に観ていたプロ野球や当時盛んだったプロレス(夜のゴールデンタイムに放送されていた)などのシーンや実況アナウンサーの声や顔まで思い出されてきます。
有名なテーマ曲はいずれまた取り上げたいと思います。